ハワイの神話と伝説(第二章・その5)


『 ハワイの神話と伝説 』 目次  (タイトルをクリックすると各項へジャンプします。)
はじめに・・・(著者プロフィール・参考文献)
第一章 島々と人間の誕生
【1】 ハーロア(Haloa)
【2】 「メレ・ア・パークレイ(Mele A Paku'i)」より
【3】 四大神による創造神話
【4】 ペレ(Pele)による島々の創造
第二章 マーウイとヒナ
【1】 マーウイの誕生
【2】 マーウイ、島を釣る
【3】 マーウイ、空を持ち上げる
【4】 マーウイ、火の起こし方を知る
【5】 マーウイ、太陽を捕まえる
【6】 マーウイ、化けトカゲをやっつける

第二章 マーウイとヒナ
マーウイ、太陽を捕まえる(1)
マーウイ、太陽を捕まえる(2)

* カパ
……樹皮をたたいて作った布のようなもの。
カパ
* 夜になると、雨が降る
……ヒナの住んでいたヒロの町は、雨の多いことで知られていますが、特に夜にたくさん降ります。
* ハレアカラー
……「太陽の家」の意。マウイ島の最高峰。標高3,055メートル。
* ヴィリヴィリ
……ハヴァイイの固有種。デイコの仲間。

【 解 説 】

マーウイのやることは、前節と同様、随分乱暴ですね。太陽が言うことを聞かないからといって、いきなり足を一本叩ききってしまうのですから。母親に対する思いやりの深さに比べて、他者に対しては礼儀知らずのようです。もっとも、昼が長くなったことは、ヒナだけでなく人間にとってもいいことでした。マーウイは、やはり人間には恩恵をもたらす神のようです。

ハヴァイイでは、一年は二つの季節に分けられていました。大雑把なようですが、ハヴァイイでは日本ほど季節の変化が激しくないということの表れでしょう。その二つとは、夏に当たるカウ(kau)と、冬に当たるホオイロ(ho'oilo)です。ホオイロは、カウに比べて雨が多く、気温も特に朝晩は下がるようになります。

ハヴァイイの人々は、月に基づいた暦を使っていました。ヒナは月の女神ですが、月がいかに人々にとって重要だったかということは、ハヴァイイ語では月齢によって月の名前が毎日変わることでも分かります。ひと月のうちの何日かずつは、四大神(カーネ、クー、ロノ、カナロア)のそれぞれに捧げられていました。また、それぞれの日によって、いろいろなカプ(kapu)が定められていました。

即ち、その日の月齢によって、特定の仕事が禁じられていたり、奨励されていたりしたのです。それらのカプの多くは、その日が捧げられている神がどんな神かということに関係があると考えられます。毎日、日替わりでいろいろなカプが定められているのですから、書いておくカレンダーもない時代の人々には、さぞ大変だったことでしょう。もっとも今日のハヴァイイでは、年末になると古代ハヴァイイ人の伝統にのっとったムーン・カレンダーが売られており、一日いちにちのカプが書いてあります。
また、一年の巡りを告げるのは、プレアデス星団(和名すばる)、ハヴァイイ語でマカリイ(Makali'i)でした。日没のとき、東の空にマカリイが昇ってくるのが見えたら、新しい年の始まりです。これは、今の暦でいうと十月下旬から11月上旬ころに当たります。

【月の名前】

ハヴァイイ語で月一般はマヒナ(mahina)と言いますが、月齢に応じた名前は次の通りです。

さて、このお話の中で、ヒナは熱心にカパ作りの仕事をしています。また、第1節「マーウイの誕生」では、ヒナはリムの採集に行きました。これらの仕事は、昔は女がやるものと決まっていました。ヒナは女性性を象徴する神とされていますが、彼女の仕事ぶりはそれをよく表しています。 カパとは、衣服や掛け布団として使われた布のようなものです。カパの素材は木の内皮です。ハヴァイイでカパの原料になった木は何種類かありますが、もっとも一般的だったのは「ヴァウケ」(wauke)という木でした。ヴァウケとは、日本の梶の木(カジノキ)のことです。ヴァウケのほかには、マーマキ(mamaki)という木やパンの木(ウル、'ulu)なども原料になりました。昔は、カパと同様のものがポリネシアのほか世界各地で使われていました。

ハヴァイイでは、男性の食べ物と女性の食べ物は別々に調理しなければならないと決まっていたので、各家庭に2つのイムがありました。そして、どちらも、調理するのは男性の仕事でした。



ハヴァイイ式のカパの作り方は、まず木の枝を三メートルくらいに切って、縦に(枝の上端から下端まで)切りこみを入れます。そして、切りこみから両側にむくようにして、皮全体をはぎとります。それから、固い外皮をこそげとります。そうして取れた木の内皮を、水に漬けて、菌類の作用で柔らかくなったら叩き、それから乾かします。これを二回繰り返すと、木の繊維がほぐれ、和紙のような、あるいは布でいえばフェルトのようなものになります。梶の木は楮(コウゾ)の仲間で、和紙の原料になる木なので、カパの質感が和紙に似ているのも道理です。

こうしてできたカパの色は、木の種類によってクリーム色っぽい白か茶色です。しかしハヴァイイの人々は、カパをもっときれいに飾りたいと思ったらしく、いろいろな染料で染めたり、模様をつけたりするのが一般的でした。また、香りのよい植物で匂いをつけることもありました。ハヴァイイのカパは、手触り、染色の種類の豊富さ、洗練された模様などの点で、ポリネシアの中で最高の品質だとされています。
 古代ハヴァイイ人が日常的に着ていた衣服は三種類ありました。男性用のマロ(malo, ふんどし)、女性用のパーウー(pa'u, 腰巻)、そして、男女ともに使われたキーヘイ(kihei, 肩掛け)です。いずれも、主にカパから作られました。ハヴァイイは一年を通して気候が温暖なので、織物や編物がなくても、シンプルな衣服で事足りたのでしょう。そのほか、高山に登るときの寒さ対策や、レイン・コートとしては、たくさんのキー(ティー)の葉で作った蓑が使われていました。
 今日では、カパで作った衣服はめったに見ることがありませんが、カパをあしらった小物はおみやげとしてポピュラーですし、カパに使われた伝統的な模様(連続的な幾何学模様)は、アロハ・シャツのデザインにもよく応用されています。


第二章【5】 マーウイ、太陽を捕まえる  完

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