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ハワイでは、日本と同じで万物にそれぞれの神様がいます。その神様達が、神ならではのとてつもない大事業を次々とやってのける一方で、人間と同様に、惚れた腫れたで悶着を起こしたり、悪さをしたり。ハワイ神話には、たくさんのドラマがつまっています。それらは、古代ハワイ人の願望・哲学・感情を反映しているのです。ときに神妙、ときにユーモラス。そんな物語を、これからご紹介していきたいと思います。
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ハワイ神話は、全て口承によって伝えられてきました。ハワイには文字がなかったので、神話や歴史物語は専門の学者が先生から口伝えで教わり、それをまた次の世代に口伝えで教えていたのです。ですから、一つの話に数多くのバリエーションがあり、日本の「古事記」「日本書紀」に当るような、古い時代にまとめられた総括的な文献がありません。そこで、この記事では、なるべく最大公約数的なストーリーをご紹介するように努め、主なバリエーションには解説で触れるようにしています。
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古代ハワイ人は、物語を確実に覚え、間違いなく口伝えしていくための工夫をしていました。それは、覚えやすいように、粗筋を歌にするという方法です。そういった歌もいくつかご紹介していくつもりです。ハワイ語で、歌や詩をメレ(mele)と言いますが、古代ハワイのメレは、音高やリズムの変化が少なく、日本のお経や祝詞(のりと)に似ています。そういう、語りに近いような歌を指す言葉として、英語の「チャント」(chant)という用語を使っていきたいと思います。なお、チャントは一種の詩ですが、内容を分かりやすく、しかも意味を正確にするため、訳は散文にしました。
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最後にお断りしますが、筆者は、ハワイ語の単語をカタカナで書く際は、なるべく本来の発音に忠実にしたいと思っています。そのため、日本で親しまれている「ハワイ」(Hawai'i)という言葉も、この後は「ハヴァイイ」と表記するほか、皆様が既にご存じの言葉については違和感や疑問を持たれるかもしれません。そのため、本来の発音がはっきりするように、文中でハヴァイイ語を使うときは、初出時のみアルファベット表記も示しました。
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