ハヴァイイの神々の中で、日本人にもっともよく知られている火山の女神、ペレが島々を作ったというお話です。
ハヴァイイの人々は、常に火山活動によって溶岩が海へ流れ、新たな陸地が作られるのを目の当りにしてきました。今も、キーラウエア火山から流れる溶岩によって、ハヴァイイ島の面積はどんどん増え続けています。 ですから、昔の人々が火山活動によって島ができたと考えたのは、ごく自然なことだったでしょう(もっとも、ペレ神話にはたいへん多くのバリエーションがあり、ペレがカヒキからハヴァイイへ来たときには、島々は既にあったという説の方が一般的です。詳しくは第二章でご紹介します)。
この神話で、ペレが島々を作った順序は、「ハーロア」や「メレ・ア・パクイ」とは逆に、カウアイ島からハヴァイイ島へとなっています。
現代の科学者達は、ハヴァイイ諸島は北西の島ほど古く、南東の島ほど新しいと考えていますので、この神話と一致します。 ハヴァイイ諸島は火山列島ですが、ハヴァイイ人の先祖達が移住してきたときには、既に、活発な火山はキーラウエア火山とその隣のマウナ・ロアだけだったと思われます。 この二つは列島の中で最も南東にあるハヴァイイ島の、その中でも南東にありますので、古代ハヴァイイ人はそちらの方を新しいと考えたのでしょう。
現在、ハヴァイイ島の南東の沖で海底火山の活動が観測されています。
そのなかでも、海岸から約三十二キロメートル沖合いにある、ローイヒと名づけられた火山は、もう海面下千メートルほどのところまで隆起しているそうです。 いつの日か、新しい仲間がハヴァイイ諸島に付け加わるのかもしれません(とは言っても、ローイヒが海面上に現れるには、あと十万年ほどかかるそうです。 また、ローイヒのあるところは、ハヴァイイ島の沖から近いので、隆起してきてもまもなくハヴァイイ島と合体するのではないかと思われます。