【 解 説 】 |
ハヴァイイでは火山が身近にありますが、この神話では、火を火山の溶岩流からではなく、木から得るものとしています。このことはおそらく、ハヴァイイ人がほかの土地から移住してきた人々であり、火山を見つける以前から、木をこすり合わせる火の起こし方は知っていたし、それにまつわる神話も持っていたからなのでしょう。
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古代ハヴァイイでは、尖らせたハウの木切れで、オロメアという木につけた溝をこすって火を起こしていました。ハウはとても柔らかい木で、オロメアは固いのです。そうして火がつくと、よく乾いたココナッツの殻の繊維(ココナッツは外観では分かりませんが、中の食べるところがたくさんの繊維質でおおわれています)に火を移し、それから薪に移していました。
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ハヴァイイで行われていた調理のしかたは二種類で、素材の量が少ないときは、アラエがバナナを焼いていたように、火に直接かざして焼いていましたが、たくさん調理するときには、イム"imu"(またはウム"umu")と呼ばれる、一種のオーブンを使いました。
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イムとは、地面に掘った、直径、深さとも1~2メートルくらいの穴です。その穴の底で火を焚き、燃えさしになったところに石ころを敷き詰めます。石が熱くなったところにバナナなどの葉っぱを敷き、その上に食べ物を載せて、ふたをして蒸し焼きにしました。ふたはバナナやキー(ティー)の葉っぱ、古いマットなどで、ときには土が使われました。この方法は、調理時間が2時間かそれ以上かかります。
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ハヴァイイでは、男性の食べ物と女性の食べ物は別々に調理しなければならないと決まっていたので、各家庭に2つのイムがありました。そして、どちらも、調理するのは男性の仕事でした。
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